これは未来のお話。
子供の頃の僕にとって遥か未来の話。
結局やって来なかった未来の話。
例えば人類が宇宙に移住して、ロボットが家事をしている。テレビ電話はもう古くて、立体映像が標準だ。
例えば巨大なロボットが宇宙怪獣から地球の平和を守っていたりする。人間同士の戦いなんてもう古臭い。
まあ、そんな未来はやって来なかったわけで、当分やって来そうにもない。
子供の頃は時間が長くて、この「今」は随分先に感じられたものだ。
だから、その「今」にたどり着くまでの間に、きっと猫型ロボットとか、空飛ぶ車とかができるもんだって変な確信があったんだよ。
でも、意外と時の流れは早くなっていって、あれよあれよという間に僕を飲み込んでいったんだ。
僕は半ば溺れるようにして、時間の急流を流された。
ロボットの誕生を過ぎ去り、宇宙へと引っ越す日時を過ぎ去った。子供の頃思い描いていた未来はいつの間にか過去になって、今の僕にとっての未来は小規模な希望と不安の世界。
きっと人類は進歩するだろうし、何だかんだで未来には近づいていっているんだと思う。
それがどんな形で実現するにしろ、僕はそれにどんな気持ちで接するのだろう。
それまで生きていられるだろうか?
僕は未来の為に戦っている。
我らが未来へ侵攻せしは別のものが抱きし未来。
これは未来と未来の戦争で、その過去である現代と現代が最前線である。
他人の未来を叩き潰し、侵略してでも僕たちは僕達の未来を実現させてみせる。
進軍せよ、我らが戦闘ロボット。
迎撃せよ、魔法のような道具をもった青猫よ。
勝利せよ、人類が地球という束縛から逃れるために。
僕は鋼の鎧に身を包み、奇跡を操る狂信者達に立ち向かう。
僕は銃を構え、我らの力を削ごうとする自然人達を撃ち殺す。
僕は現状維持派の古臭い武器を握りつぶし、破滅主義者の自己犠牲的猛攻を跳ね除ける。
漁夫の利を狙う相対主義者たちは仮初の中立の中で、いずれ瓦解するであろう。
これは未来をかけた戦い。
未来が存在する限り、
人類が一つである限り、
永劫に続く戦いである。
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