2014年4月1日火曜日

非実在図書感想文

エイプリルフールらしいです。なんか嘘の一つでもつかないともったいない気がしますよね。
ってことで存在しない図書の感想文を書きました。



【アンネの日記―地獄篇― 著:アンネ ブランク】
 クローン技術とサイボーグ化により現代によみがえったアンネが銃を手にし、同じく復活を遂げたヨーゼフ大佐率いるネオナチ軍団と戦いを繰り広げるブラックユーモアに満ちた小説。スタイリッシュなアクション描写でとにかくアンネがかっこいい。後半は自分を甦らせたユダヤ人の秘密結社と戦うという意外な展開もあって飽きさせない。


【安全地帯 穴と島、あるいは崖 著:成葉屋さくら】 
 子供のころ白線の上を歩き続けることに挑戦したことはないだろうか、白線以外の箇所を奈落と見立てて……。そんな誰しもが経験したであろう遊びの見立ての起源を探るべく、著者は表象や記号、遊戯、認知心理学や脳科学などを縦横無尽に駆け回る。ややまとまりがなかったようにも思うが、なるほどと思わされることも多かった。


【折れない筆 著:悪木末期】 
 小説を書くことが嫌で嫌で仕方がない小説家が主人公。作業としての書くこと、推敲することはもちろんのことストーリーを妄想することすら苦痛で仕方がないのだと主人公は語る。自分には小説の才能があると自惚れ気味に言うものの、確かに才能があるからといって必ずしも好きになるわけではない。書くことによって欠落が増し、妄想に自我が侵食されていく描写は幻想的でありながらおぞましい。


【守藻の生態 著:五野日人】 
 沼の底などにみられる茶色の不格好な毬藻のような守藻と呼ばれる塊。藻の仲間かと思いきや実はアメーバのようなごく小さな原生動物の巣である。多数の個体が役割分担し一つのコロニーを形成しているのだが、外側と内側、中を通る水脈の周辺などではその役割が違う。前半はその生態の紹介。後半は多細胞生物との関係や細胞の分化とその再編性についての考察がなされていてなかなかエキサイティングな内容。



以上。失礼しました。