2012年1月25日水曜日

乱暴な雪のように


 泥沼のような仮眠から目覚めると、窓の外には雪が積もっていた。
 小さな子どもたちを送り出し、いつもと違う色のアイシャドーをつけて、7センチヒールのブーツを履いて、アテもなく外出する。

 iPod touchの中には、本当にどうしようもない時に聴くための、アルバムが入ってる。本当にどうしようもない時だけ、ボリュームを最大にして、この曲を聴く。

 雪が、乱暴に降っている。私は傘もささずに早足で歩く。

 思えば、はじまりの日も、おわりの日も、雪が降っていた。
 もしくは、なにもはじまっていないし、なにもおわっていないのかも知れない。

 1500円カットの美容院で、髪を切る。いつもどおりのベリーショート。
 Loftのバレンタイン特設コーナーで、チョコレートを購入する。なぜだか「ご自宅用ですか」と尋ねられ、「はい」と答える。
 390円均一の古着屋で、白いケーブルニットのセーターと、コットンのミニスカートを買う。
 ニーハイソックスを買い物カゴに入れて、やっぱり棚に戻す。
 藤王で、630円の中華そばを食べる。

 そうして、バスに乗って、家に帰る。



    ヘッドセットから聞こえる声が
    なんども、なんども、だいじょうぶだよと
    私に



 たくさんの人のやさしさが、雪のように降ってくる。卑怯な私の上に降ってくる。
 たくさんの人とつながっている、モニタの前で、「ご自宅用」のチョコレートを食べる。



    たのしいこと、いっぱいやっていきましょう



 逃げてばかりの私に、やさしさが降ってくる。

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