2012年12月31日月曜日

冬の日

 温かいコーヒーを飲んで、タバコを吸う。窓はすっかり結露していて、その向こう側の景色を遮断している。新しく買ったカーテンがその湿気で窓枠にぺたりと貼り付く。

 一年という時間を考える。三百六十五日。八千七百六十時間。五十二万五千六百分。三千百五十三万六千秒。
 例えば、一秒間ため息をつけば(ずいぶんと深いため息だが)、一年のうち三千百五十三万六千分の一の時間をため息に費やしたことになる。
 その時間を無駄に思うかどうか。
 例えば、三分間タバコを吸えば、一年のうち十七万五千二百分の一の時間をタバコに費やしたことになる。
 その時間は無駄だったのかどうか。

 厚い雲が太陽を隠している。洗濯をしてみたもののこの天気では乾くかどうかわからない。
 冬の雲はすべてをグレーに変えてしまう。街も、人も。寂しさは増し、迷いが生まれる。

 すべての無駄を省けば、世界はこうならなかったという人がいる。
 人々の迷いが世界を混迷に導いたという人もいる。
 果たしてそうなのか、僕にはわからない。わかるのは、たとえどんな優秀な指導者が現れても、人は無駄なことをするし、迷いもするということだ。

 窓をあけると、冬の冷たい風が入り込んでくる。
 僕は凍えながら外の景色を見る。
 通りの向こうには建設中のマンションがある。地面を掘って、鉄骨を埋め込んでいる。

 僕はどんな一年を過ごしてきただろう。
 何かを創造できただろうか。何かを残せただろうか。
 人に優しくできただろうか。人に信頼されるための努力をしただろうか。
 自分を成長させることができただろうか。自分に嘘はつかなかっただろうか。
 寄り道をしながら、道に迷いながら、それでも精一杯生きてこれただろうか。

 一年に一度は、そんなことを考える日があってもいいように思う。
 そう、この大掃除が終わりさえすれば。

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