2012年3月25日日曜日




アイコン用画像 256x256
下唇あり・なし の2バージョン

2012年3月21日水曜日

卒業 - Our journey has just begun.


 だいたい、卒業式に桜なんてできすぎている。桜の開花予想は毎年3月の終わり頃だし、春一番という名のアニメ版ジャイアンみたいな風が吹くか吹かないか悩んでいるあたりに、たいてい卒業式ってのはとり行われる。誰が卒業≒桜ってイメージを植え付けたんだ?
 ほとんどの卒業生はたいして深い感動などなくこの学校を出ていくわけで、長野県民以外は校歌なんてものの1週間もすれば忘れてしまう(秘密のケンミンSHOW情報だが、長野県民は大人になっても卒業した学校の校歌を覚えているそうである)。大学に行けば夏はテニス、冬はスノボみたいなフヌケたサークルに入って頭の中をフニャフニャにされ、女ばかり追いかけてユニクロからH&Mにクラスチェンジしたりして、2、3年後には、「ああ、就活めんどくせえ」とか言ってるに決まってるんだ。着る洋服をユニクロからH&Mにすることがクラスチェンジかどうかなんて知らないけど。
「はあ」
 僕はせいぜい小学生が掘る落とし穴程度には深いため息をついた。
「晴れの卒業の日になにため息なんてついてるのよ」
 声をかけられて立ち止まり、振り向くと、そこには茜がいた。
「おまえかよ」
「なによ、その顔」
「生まれつきこの顔なんだが」
 茜に悪態をつくのも今日が最後か。そう思うと少し寂しい気もする。
 茜とは3年間同じクラスだった。1年のときにとなりの席だったことをきっかけに何となく話すようになって、気がつくと顔を合わせれば悪態をつきあうほどの仲になっていた。たぶんいい意味で。この学校に入って男友達も女友達も何人かできたが、その女友達の中で最も仲のいい友だちとでも言っておけば、まあ、角も立たないだろうか。
「生まれたときは今よりずっと可愛かったわよ。知ってる? 赤ちゃんって可愛いのよ。ちっちゃくて、やわっこくて、しわしわで、ふにゃふにゃで、ぽにょぽにょなのよ」
「知らない」
 そう言って、僕は歩き出した。
「ちょっと、どこ行くのよ」
 茜が駆け足で追いかけてくる。

「フッ、どこだっていいじゃねえか。俺たちの旅はまだ始まったばかりだぜ!」


                                                    ...The END



今まで応援ありがとうございました! 冬雨先生の次回作にご期待ください!



敵キャラクターなので、色がおかしい方が良かったのですが、このままだと背景と混ざるかも。
夜背景。
しぞワン+茶屋さんを敵キャラにしたので、あとは…どうしようか。

今の所の確定したもの
茶屋さん+しぞワンさん(ゾンビ系萌えキャラ男の娘
UCOさん(無害な汎用型物理不可キャラ
たきてあまひかさん(全裸短時間で出現、倒すと雨がなくなる
雨森さん(パターン数の多い中ボス的狼男

まともなのは雨森さん…か
一番ひどいのはたきてさんだよなあ…

2012年3月18日日曜日

無計画リレー小説 第六話

【登場人物】
古屋勇太‥‥十九歳。小説家志望のフリーター。祖父の営む古書店でアルバイト中。
美園さおり‥‥十七歳。高校生。勇太の幼馴染で、美園屋青果店の一人娘。
古屋繁‥‥勇太の祖父。古書店を営んでいる。
古屋一雄‥‥勇太の父。
ジェイムズ・J・ジェイムズ‥‥伝説の作家。


 じゅうじゅう。ぷうぷう。
 秋になると勇太の母親がよく買ってきては焼いてくれた、さんま。古書が脂臭くなるといけないから、と、七輪をわざわざ狭い裏庭の隅の方へ持っていって。そうして焼いたばかりのを、勇太たちに食べさせてくれたっけ。あの、少し焦げた皮がまだちりちりと騒いでいるところへ、きゅっとすだちを搾って――。

 だけど、空から降ってきたそれはそんなもんじゃなかった。
 天一面を覆うかと思うような、巨大な影が、鼓膜を突き破るほどの激しい焼き音を、鼻をつまみたくなるほどの強烈な焦げ臭をさせながら……。
「何してるの勇太、よけるわよ!」
 さおりに半ば引きずられるようにして、勇太は大根おろしでできた山の陰にしゃがみ込んだ。途端、ずどおおおおおん、という世界全体が揺れるような轟音と共に、巨大さんまがさっきまで勇太たちのいた場所へ着地する。足元を支えていた硬質な何かが、ビリビリと震えた。よくよく確かめればそれは陶器でできているようで、恐らくは非常に大きな、皿なのだった。
「じいちゃんすげえ。本当にさんまが降ってくるなんて」
「今頃何を言っておるか。来る、と『言った』ら、来るに決まってるだろうが」
「えっそれ、どういう……」
 繁の言葉には、妙なアクセントが感じられた。勇太がその意味をとりかねていると、繁は呆れたように肩をすくめる。
「やれやれ、お前は一雄の時よりも手がかかるな」
 一雄(かずお)とは、勇太の父親の名前だった。彼もまた、古屋の成人の儀を受けてこの場所へ来た、ということだろうか?
 さんまは鋭角に尖った口をこちらへ向けて、湯気を昇らせ身や皮を派手に弾けさせながら、熱い脂を滴らせている。その口は半開きで、縁を鋭い歯がびっしりと覆い、まるで勇太たちを脅しているかのようだ。その斜め上にあるだろう眼球に至っては、もはや大きさを想像するのさえ恐ろしい。
 あの巨人はどうなったろう、と勇太がわずかに首を伸ばして大根おろしの向こうをうかがおうとすると、たちまちさおりに咎められた。
「まだよ、勇太。もう少しだけじっとしてて」
「あ、うん。……あのさ。さおりは何でそんなにいろんなこと」
「おい、お前たち早くこれを被れ」
 繁が広げ始めたのは急な雨の日に軒先の古本に掛ける、透明なビニールシートだった。訳の分からないまま、言われた通りに三人してシートの下へと潜る。巨大さんまはまだ盛大にジュウジュウと音を立てていたが、そのところどころに巨人の野太いうなり声が混ざっているように勇太には思われた。
(こんな透明なシートでは、身を隠すこともできないんじゃ……)
 勇太が不安になった瞬間。バラバラバラッ、と天から大粒の雨だれが降り注ぎ、同時に柑橘の心地好い香りがあたりに満ち満ちる。
(――これは、すだち?)
 恐ろしい悲鳴が聞こえた。
 思わず顔を上げると、巨人がすだちの雨の直撃を受け全身を濡れそぼたせながらのたうっている。剛毛に覆われた腕で何度も目のあたりをこすり、あれほど硬そうだった皮膚も酸にやられたか、焼けただれ幾筋もの血を流していた。
「さ、勇太、さおりちゃん。行くぞ」
「行くって、どこへ?」
 勇太の間の抜けた質問に、二人が振り返った。「いやあね、勇太。まだ分からないの? 大根おろしに焼きたてのさんま、すだちがかかったといえば、次は」
「……食べる?」
「そう! 正解。箸が、私たちをここから出してくれるの」
 そう言っている間にも、尖った二本の柱が突き刺すような角度でさんまに迫ってくる。
「さあ、急いであれにつかまるんだ! チャンスは二度はないぞ」
 言うや否や、繁が還暦過ぎとは思えない身軽さでさんまの腹ビレをつかみ、焼き目を足がかりに急勾配をよじ登り始める。さおりも即座に後に続いた。
「だけど、箸――ってことはさ、出口はまさか、『口』?」
 巨大さんまの口でもあの迫力だったのだ、それを食らう超巨人の口はどんなにか、大きく、力強く、おぞましいほどの咀嚼力で勇太たちを噛み砕くことだろう。
「大丈夫、私たちそこから来たんだから!」
 きびきびと銀茶まだらの壁を登ってゆくさおりの動きに、ためらいや迷いはない。見れば、いつもの美園屋青果店の前掛けの下は、まだ高校の制服のままだった。ミニスカートの下の引き締まった太腿に目が行きそうになって、慌てて顔を背ける。
(こんな時に俺は)
 ――と、目の端に恐ろしいものが映った。巨人が、ただれた腕を、脚を引きずり、剛毛を血でべったりと体に貼りつかせながら、それでも確実に、こちらへ這い寄ってくる。両の目はもう完全にその役を果たしていないようで、けれど巨人にはどうしてか分かるようなのだ。勇太たちの、いや、恐らくは勇太の、居場所が。
「ほら、勇太も早く!」
 さおりの声に引っ張られるように、勇太も登った。べたつく脂に何度も手を滑らせながら、懸命に登った。これ以上さおりや繁の足を引っ張るわけにはいかない。二人を、自分のせいで危険にさらすわけにはいかない。今度こそ、自分で何とかしなくては。
「箸が来るぞう」
「さおり! 俺につかまって!」
 焦げた皮の隙間に足を取られていたさおりの腕を、勇太は無我夢中でつかんだ。そうして三人、巨大な箸と塩焼きさんまの塊につかまって、ぐいっと急加速で宙に浮かび上がった!

(……つづく)

くらげ娘



方向を間違えているのは分かっています。
そして締め切りをすぎているのも・・・orz

・・・でもせっかく描いたので見て!( ・∀・)

2012年3月14日水曜日

アイコン、あいこん、icon

<2012.03.14>
新サイト「てきすとぽい」のアイコン募集に、たくさんのご提案ありがとうございました!
誠に勝手ながら、投票用になんとなーくデザインを思い出せそうな名前をつけさせていただきました……(センスのなさは不問でお願いします)。

・蟹川森子さんデザイン:紋章学(テキスポたん)
・蟹川森子さんデザイン:紋章学(本)
・茶屋休石さんデザイン:読書
・太友豪さんデザイン:ぞうさん
・山田佳江さんデザイン:「て」きすとぽい
・たきてあまひかさんデザイン:落款
・たきてあまひかさんデザイン:て斬すとぽい1
・たきてあまひかさんデザイン:て斬すとぽい2
・たきてあまひかさんデザイン:「てき」すとぽい
・たきてあまひかさんデザイン:「ぽい」
・たきてあまひかさんデザイン:うちゅうじん
・蟹川森子さんデザイン:「T」
・takadanobuyukiさんデザイン:くらげ娘 (投票欄開設後にご提案いただきました。)

※こちらに掲載の画像は、投票のためトリミングやサイズ調整を行っております。ご応募いただいた全画像は前回の記事の末尾に掲載させていただきました。

投票は一週間程度を予定しています(3/21か、22くらいまで?)。
恐れ入りますが、正確な投票終了時間は投票欄でご確認くださいませー。

……さてさて、一体どれに決まるやら!?



<2012.03.24>
皆さま、ご投票まことにありがとうございました!
結果このようになりましたー。

蟹川森子さんデザイン:紋章学(テキスポたん)  4票
蟹川森子さんデザイン:紋章学(本)       2票
茶屋休石さんデザイン:読書           1票
太友豪さんデザイン:ぞうさん          1票
山田佳江さんデザイン:「て」きすとぽい     2票
たきてあまひかさんデザイン:落款        1票
たきてあまひかさんデザイン:て斬すとぽい1   1票
たきてあまひかさんデザイン:て斬すとぽい2   0票
たきてあまひかさんデザイン:「てき」すとぽい  0票
たきてあまひかさんデザイン:「ぽい」      0票
たきてあまひかさんデザイン:うちゅうじん    1票
蟹川森子さんデザイン:「T」          3票
(総投票数16)

というわけで、制作中サイト「てきすとぽい」のアイコンには、蟹川森子さんデザインのこのアイコンを使用させていただきたいと思います! ぱちぱちぱち!
……と、いきたいところなのですが、「テキスポたん」デザインの権利をお持ちのはずの深水さんと、まだ連絡がついておりません。残念ですが、しばらくの間は「テキスポたん」部分が本になったこちらのデザインを使用させていただきつつ、深水さんのお返事を待つ……ということにさせていただきたいと考えております。
(深水さんからお断りの通知をいただいてしまったり、あまりに長い間お返事をいただけない場合は、その時にはまた改めて相談させてくださいませ。)

また、これだけ様々な、どれも可愛らしいデザインのアイコンたちを、このまま使わないのはもったいない! と、投票始まってから思いたってしまいまして、できれば Twitterアイコンを月替わりなどにして、順に使わせていただきたいなあと考えておりますのですが、各デザインのご提供者さま、いかがでしょうか……?

Twitterアイコンにつきましては、
引き続きデザインのご提案をお待ちしております!
ご提案の際には、以下のファイル形式でお送りいただけると大変助かります。
サイズ:128 × 128 pixel 384 × 384 pixel
拡張子:.bmp/.png/.gif/.jpeg/.jpg
※季節感のあるデザインをご提案いただいた場合には、使用順を変更することがあります。



<2012.05.22>
Twitterのアイコン縮小のクセを、少しいろいろ試してみました。の報告。
(4月20日頃試しました、レポ遅くなってごめんなさい……。)

Twitterのプロフィール欄に表示されるアイコンは、4/20時点では128×128px、タイムラインに表示されるアイコンは48×48pxです。
(他に、場所によって24×24pxなども使用されていますが、よく目にするのは前述の二つかなと思います。)
ところがユーザがTwitterに登録できる画像は一枚しかなくて、その一枚を元に、Twitter側がそれぞれ適切なサイズに拡大縮小して、アイコン表示をしている状態です。

……で、そのTwitterアイコンの、拡大縮小の癖なのですが。
あれこれ説明するよりも、スクリーンショットを見ていただくのが早いかなと思います。
登録した画像はどれも、384×384px(※128と48の最小公倍数)だったかなと思います(すみません、いろいろなパターンで試していたので記憶があやふや。でもどのサイズで試したときも、縮小画像の傾向は同じでした)

一番上が、透過色を使わないPNG画像。背景色は元々白です。
真ん中が、輪郭の外を透明に設定したPNG画像。
一番下が、輪郭の外を透明に設定したGIF画像。

GIFの透明度は、完全に透明か完全に不透明かの二値しかないため、一番下が輪郭ギザギザになるのは、まあしょうがない、のかなと思います。
ですが、PNGなら透過色にも中間があるので、できれば透明度まで綺麗に縮小してほしい、ところ。ところ。――なぜ、透明度と関係ない部分までモヤモヤになるのっ?
(些細な違い、と言われれば、その通りなのですが、タイムラインにいくつも並んでいるのを見るとやはり、かなり印象が違ってきます……。)

……というわけでありまして、Twitterアイコンを登録するなら、
・精密なデザインをくっきり出したいときは、透明色を諦めて、非透過PNG画像
・ほんの少しぼやけてもいいから背景等を透明にしたいときは、透過PNG画像
が、いいのではないかなあ、という風に思いました。

※もちろん他の画像形式にも長所はいろいろあって、アニメーションしたいならGIF画像、写真アイコンならJPEG画像、かなと思います。今回使用したかったアイコンはJPEG形式に向かないため、比較していません。
できることなら、Twitter側の画像縮小アルゴリズムの改善を希望したい……。

無計画リレー小説 第伍話

【登場人物】
古屋勇太‥‥十九歳。小説家志望のフリーター。祖父の営む古書店でアルバイト中。
美園さおり‥‥十七歳。高校生。勇太の幼馴染で、青果店の一人娘。
古屋繁 ‥‥勇太の祖父。古書店を営んでいる。
ジェイムズ・J・ジェイムズ‥‥伝説の作家。



「待ちなさい!」
そのときだった。
闇の中、一筋の光がさしたような鋭い声で、
「おぞましい化物。勇太をどうするつもり」
と、一喝したのは、美園さおりだった。
手には、実家の青果店から持ってきたのか、白ネギと大根を装備している。
ネギは千住、大根は青首。ともに一般的なやつだ。

「さおり……どうしてここに?」
ありきたりの反応をした勇太に、さおりは、背中のリュックから白くて丸い、ずっしりとした野菜を手渡して、
「これで戦うよ、勇太!」
と言った。
「カブ……?」
「馬鹿、聖護院大根でしょう!」
京都府聖護院発祥の伝統的な京野菜。
球形で重さ2キロ前後。
きめこまかな肉質で甘く、煮くずれしない。
ふろふきや煮ものなどに利用される。
「これで戦うって……?」
わけがわからないよ、と振り向いた瞬間、勇太は愕然とした。

さおりが、聖護院大根の10倍はあろうかという、巨大な、
白いかたまりをリュックから引きずり出していたのである。
「さ、桜島大根っ……!」
「勇太。私にはこんなことしかできない。フリーターだって良い。家の手伝いだって立派だと思う。
でも、人生っていう物語をあきらめたらいけないって思うの」
「あきらめるって、僕は何も……」
「物語を一度整理して、忘れられていたことや、見えなくなった道を、
もう一度、確かめれば良いじゃない!」
さおりは、さっき見たような涙を目に浮かべていた。
(何でこんなに必死なんだろう……?)
勇太は、何と言葉をかけたら良いか分らない。
(ていうか、さおりはどうやってこの空間に入ったんだ……?)

だが目の前の巨人は、事態を把握する間隙を与えなかった。
ガチガチと音を立てる両腕の、おぞましさ。
鋭く尖った無数の刃が、今にも勇太の肉体を擂り砕き、血を噴出させようと地獄の炎を反射している。
あたかも、巨大なおろし金のように……。
「あ、そうか!」
「うん、勇太も分ってくれた!」
見交わす笑顔。
手にした聖護院大根を巨人目がけて投げつけると、
さおりも同じように、巨大な桜島大根を投げ飛ばしたのである。
ハンマー投げの要領で、横向きに一回転して放り投げる。

ジョリジョリジョリ!

巨人の周りに白い粒が飛散した。
粉雪のように舞う、大量の大根おろし。
「勇太、まだあるから!」
次々と放り投げる桜島大根に、聖護院大根、青首大根、白大根。
さおりのリュックはどうなっているのか。

やがて巨人の左右に、大根おろしの山が出来上がったとき、次に起こるべき事態は容易に想像づいた。
すなわち勇太の祖父・繁が、縁台に立ち上がって叫んだ。
「さんまじゃ! 巨大なさんまの塩焼きが来るぞ!」


(つづく)