2012年4月22日日曜日

あなたのとなりの物語 3話目

 
 
 上履きをはこうとしたらね
泥がつまってた。
 
中庭の池の底の泥だよ。
汚いよね。
だってあひるとか飼ってるんだ。
あひるのうんちとか おしっこも
混じってるよね。
 
でもさ 入れた奴らは その泥をとるのに
池の中に手を入れるかなんかしたんだよなって
そう思ったらなんかおかしくなっちゃってさ。
 
ふでばこをあけたら鉛筆が全部折れてたなんて
毎日のことだから もう気にならないよ。
鉛筆削りもってたら困らないもん。
 
一番辛いのはなにかって?
なにかなぁ……
別にどれもなんとも思わないなぁ
慣れちゃったからなぁ。
 
あぁ……そうだ。
妹がいるんだけどね。
今度 一年生になるんだ。
来年の春にね。
同じ学校にくるから……
妹にみられるのは辛いかなぁ
  
「死にたくなる?」
ぶしつけな冷たい質問に少年は
驚いたように目を丸くして
でもすぐに またどんよりとした光のない目でいう。
「ならない。
 ならないけど
 もし事故とかで死んでも
 別にいいよ」
と言った。

その唇は 荒れてガサガサで血が滲んでいた。
 
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なんでこれ? って…
 
すぐ あちこち 転載する。
 
だって 好きなんだもの。

2 件のコメント:

takadanobuyuki さんのコメント...

言葉にした瞬間に涙とかいろいろいっしょに爆発しそうなストレスだろうに、この子は客観的な言葉を選んで壊れないように壊れないように話しているんだろうか。

「死んでも別にいいよ」

ザワリとした言葉が耳をぬけてしばらくすると、大人の私は恐ろしい怒鳴り声とともに全てをひっくり返す衝動にかられる。

子どもの私は声を出さずに、ずっと続く胃痛のような感情が過ぎるのを待っている。

Unknown さんのコメント...

子供の心はすぐに死にかけると考えます。
そして なかなか生き返らないし
なかなか すっかり死にません。

非常に厄介です。

彼の大部分を占めるのは
もちろん絶望や孤独や怒りも
あるにはあるかもしれませんが

あきらめ です。

あきらめた子供に声を届けるは
大変です。

かろうじて 妹に一条の光をみます。
妹はまだ この子の中で認識されているようだから。

来年の春が待ち遠しいです。

コメント ありがとうございます。

住谷