2012年6月28日木曜日

ミライハキレイニ

ジャッジメントシリーズの黒い本の人の呟き。
最近MIXIで人知れず悩んで退会した人がいてなあ。

設定・ジャッジメントで黒い本を読む係りの人。性格、生真面目。
ですます口調 。
これでは自分がイケメンだということに気づいて気をよくしてます。
イケメンは描けぬので、絵をあえて載せない。
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ミライハキレイニ

皆さんいかがお過ごしでしょうか?
覚えていてもらえればうれしいです、今回は私が出張です。
ジャッジメントで黒い本を述べさせていただいた、黒い翼の男です。別名悪魔とも呼ばれています。
名前は特にないのです。
自分自身を出すのはあまり好きではないのですが、中々私にはできない体験をしたので、これを書かせていただきますね。
 何故私なのか、というのは、中立位置にいるからだということです。
裁判所では色んな人の人生を知ることができるので、あの立場にいることは個人的には大変気にいっています。
ですが、最近変だと思いません?
…裁判所に来る人がおかしいとかではなく。
体験談を聞いてもらうのが一番ですね。あの本以外のもので人の人生を見るのは久しぶりです。
長くなりますよ、いいですか?

インターネット、携帯電話、厳しくなる法律、おかしな世界。
物凄く世界が早く回っていると思います。
特に…インターネット、電話の登場については面白く見させていただきました。
 皆さん周りを見てますか?
ええ、日本では就職できない人が多いとか…、いえ、人間の世界はよく分かってないのですが。そう言うのは別の者たちの方がよく知っているのです。
皆さん周りに人はいますか?
 お友達と呼んでいる人の名前と住所、年齢、生年月日、生い立ち。
知っていますか?
 お友達と呼んでいる方たちの、本当の性格。
知っていますか?
そのお友達の悩み事。
今回のお題となるのはこれです。
 私がよく喋ることの方に驚かないでください、面白いので、少し調べておきました。
はい、これは次にも使用すると思われる裁判の際に、日本に行って調べてきたんです。
なぜ日本?それは、ただ単に私が一度行きたかっただけです。
カタナとかキモノとか、そういうものを一度見てみたいと思いまして、いった先が、戦国時代でもなく、この時代だったのです。
最初はがっかりしました。
日本をよく知らない人間が、忍者と侍を期待していったのに、普通の服着てビコンクリートジャングルを見てがっかりするのに近いかと。
今時そんな人いないとか言わないでください、現にここにいるので!
最初はがっかりしましたが、すぐに別の好奇心が芽生えました。
私もさすがに芽生えた好奇心には勝てません。
面白かったので、私はここで一カ月の間いることにしました。服装は勿論この時代に合わせましたよ!
服そ上については困ったので、たまに本を代理で読んでもらう、例のあの言葉の悪い彼に見立てていただきました。
 元々黒髪なので、その髪をワックスで立てて…、黒いシャツに、ジーンズです。羽も見えなくしてみて。
どうです?
鏡の前で立って見て、カッコイイと自分で思います。細身の私には随分スタイリッシュに見えます。
 自分でうっとりしました。
鏡に映ることより、この時代の服が似合うことの方にびっくりです。
私は普段、黒い手袋に青いコート、黒いズボン、ブーツという、いわゆるファンタジックな服装なので。
 アレをこの時代ですると、コスプレなるものになるらしいですね。コスチュームプレイ?何ですかね、それは。
私の知っている意味と違うと怒られたので、割合させていただきます。

…失礼しました。はしゃいでしまいました。
 しかし家というものがないので、しばらくどうするかで悩みました。
隣によくいる彼はこの世界をご存じで。この時代を、正確には。
あちらの白い羽の女性のなかにも一人、この時代が大好きだという方がいましたね。
正行にリージ、彼らの時代です。彼らはインターネット上で別の生活をしていたと聞きました。確かインターネットという架空空間の上の名前があるのですね、彼らの場合は固定ハンドルネーム。
最初は意味が分かりませんでした。
 あれを読み上げるのは大変難しかったです。ハンドルネームにシステム、機械の名前からルールまで、意味が分からなかったです。
が、戻ってきた今なら少しわかります。でも本当に少しです。
なので、それにまつわることはいまだに彼に代理で読んでいただきます。

さて。すむ所がなく一カ月、ネットに興味ありの私なので、ネットカフェでしばらく暮らせといわれました。
 ホテルを手配してくれないのが彼です、たぶんわざとです。
ネットカフェの手配は、ほぼ例の彼がやってくれました。いつの間に証明書なんて作っていたのでしょう、写真に撮られたことすらなかった私には中々斬新な機会でした。
そう言えば服を身立ててもらった際に、妙なものをみせられました。
私の知っているカメラと違ったので、その時はカメラだと思わなかったのですが、今思うとあれがデジタルカメラ、略してデジカメというものだったんですね。
あのあと彼は喜んでどこかに持っていったのですが、彼が人の世界で暮らす場所で、勝手に証明写真として手続きしたそうです。勝手なことをしてくれますね。
私は機械音痴ですか?それとも理解が足りないのでしょうか。
しかしどうやってそれを写真に起こしているのか、私の知るのは、箱に入った、暗い場所で…。
その仕組みもよく分かってないのですが、あの時代よりはるかに進化しているようですね、。
 何にせよ、インターネットの存在を理解してなかった私が、一カ月でその仕組みを知れということの方が無理だと思います。人より頭の回転が速くて長寿でもね。

では前置きはこれくらいにして、いきます。
ネットカフェ、で、何をしろといわれても、何も分からない。キーボードの配置を覚えるのに半日かかりました。
白状します、私は中世なら好きなんです。日本でいう戦国時代の初期あたりです。
しばらくは彼が隣でひたすら教えてくれました。
 ドッキリ動画なんかに引っ掛かりましたが、私の立場で驚くわけにはいきません。…正直言うと少し驚きましたけど。
リージと正行がいたのは、大型掲示板ですね。なるほど、見ていて非常に面白いと思います。
感覚的に言うと、ノートが大きく広げられていて、それに色んなところに住む、顔も性別も知らない人たちがかいている。
それを自動的に反映してくれる…、これがインターネット何ですね。ただの鉄くずにも見えるし、どこか芸術的なフォルムにも見えるこれがそこまでの性能を持ったものだとは。
 ただ、場所…板とスレッド?によっては面白かったり、なんだか不穏な空気だったりと、見ているうちに疲れてきて、私はすぐに飽きてしまいました。
二時間くらいやって、飽きたと素直に言ったら、頬をつねられてしまいました。痛いです。本を読む立場なのだから、こういうのを覚えろと怒られてしまいました。
ですが折角来たんですから、好きなものをみたいです。やはり戦国時代の日本の着物、刀を調べるのは大変楽しかったです。
着物と刀にも種類や、時代によって変わるのですね。
インターネットで画像検索、それを見ると沢山の情報が。
 情報共有まで出来てしまうんですね、私の読みあげる本と同様に高性能かもしれません。
いえ、私の本の方が未知数ですけれど。人の心を映すという点では。
 失礼、また子供のようにはしゃいでしまいました。
そのうちに例の彼が、私にSNSというものを教えてくれました。
ソーシャル・ネットワーキング・サービスというものの略だそうですが、説明されても意味が分からないので、まずは触ってみるまでです。
彼は今の世界に詳しいので、こっそり来ては遊んでいったり、時には人に紛れて仕事までしているそうです。
何の仕事か聞いたら、ホストもやっていれば、ある機関の社員として重要位置にいるといいました。
 詳しくいわれてもよく分からないので、放置します。
彼はああ見えて頭はとてもいいんですよ。口は悪いですが。
ほら、子供にも優しいでしょう、そこは評価してるんですよ。
 私と彼の間柄は、同僚に近いのですが、私の方が少し上と皆にみなされているらしいですね。何せ本を託されていますし、私の方がやや冷静なので。
今の私は中々に冷静さを欠いてます。目の前でこんなものに触れられると思っていなかったので、無邪気に思い出してしまいます。

 そのSNSの名前は…えーと、なんでしたっけ。まあ、おいておきましょう。
とりあえず友達が欲しいと思いました。共感してくれる人ですね。
私には裁判所の彼らや、人のいう地獄と天国を管理してる彼ら彼女がいるので、友達には困っていません。
けど、やはり戦国時代を知りたいので、それの友達が、人でほしかったんです。
人がどのような考えを持って生きているかを知りたかったというのもあります。
 私は黒髪ですが、顔立ちは白人に近いので、街歩いていると時々面白そうに見られます。
見目がよいといういい方をするとナルシシズムまじってしまいますが、事実なので仕方ないです。あ、頬はつねらないでください。痛いです、やめてください。
 言い直すと、見立ててくれた彼がセンスがとてもよかっただけです。
なので、チャラチャラとしたものでもなく、かといって堅苦しくない着崩し方や振る舞いを教わりました。
少しだけ化粧までされました。動物はオスが着飾りますが、人間はメスが聞かざるものだと思っていました。しかし最近はオスもするようで。
つけられた香水やらなにやらが私の肌に悪く作用しなければいいんですが。
私はあの通り、いつもは堅苦しい性格ですから、まさか彼に教えられるとは思いませんでした。ですがこれが後で役に立ったんです。
オフ会という場所で。
一カ月、彼のネットワークに加わりました。
驚きました、彼のネットワークは今まで見た人間の中でも群を抜いていました。
 人間じゃないといったらそれまでですが、さすが裁判所に立っているだけあります、人の心をつかむ文章、言葉遣いがとてもうまかったのです。
あの裁判所、大量にいる私たちの中から、たった五人ずつ選ばれたのですから、まあ彼が優秀なのは間違いないです。
 私はどう接していいかわからず、最初は人間の扱いに困りました。
さて、SNSですが…、登録を四苦八苦して終えた後に確認すると、彼の友達といわれもののなかに、日本の歴史に詳しい人たちが多いことでした。
私は顔写真をはりました。更に生まれをソ連…あ、これは古いんですね、ロシアです。それに設定しておきました。

彼はカリスマ性を持っているので、その彼の紹介で海外、日本に興味あり。そう伝えてもらったところ、軽く数十人と簡単にお友達になることが出来ました。
最初はとても面白かった。
 メッセージやツイッター、色んなものを駆使して、気になったものを質問する。
ときにはこちらも質問を受ける。あいさつを繰り返す。
興味深いものです、たった一週間の間、インターネットにずっといる私に、どんどん砕けた話し方になって、生活の一部を直接的ではなく、見ることができる。
確か一昔前はこれがなくて、手紙や電話でのやり取りが主流でしたね。
以前裁判所に来た例でいうと、電話代がかかってしまって自殺してしまった子が来たことがあったのですが、今は電話代すら定額だとか。勿論、インターネットも。
あの子もこの時代だったなら生きていられたのでしょうか?まあそんなことはいいです。
携帯電話は、彼が持っていました。触らせてもらいましたが、全く使い方が分かりません。人は器用なんですね。
私の中のひと昔は、千年くらいは軽く前なんですけど、ここでいうひと昔は、十年です。
年月の流れが目まぐるしくて、こちらで主流の英語ですら略されていて、日本語は勿論、英語まで再度覚え直すのに困りました。
顔文字と言い回しまで変わっているだなんて、困ります!顔文字の存在だってこの前やっと知ったばかりなのに!
 私の持っている本には、私たちにしか分からない言語で書かれているので、そういう不自由さは味わうことはなかったのです。
 一見二十代後半の、黒髪のロシア人…今思うとなんだか設定が変ですね。そこは彼が上手くあとづけをしてくれたので助かりました。
そのロシア人の私は、数日たってオフ会なるものに連れていかれました。
 後で彼につねられそうですが、私は異性も同性も気を惹くタイプらしいですね、嬉しいです。
昔でしたら異人さんとして忌嫌われていたはずなんですけど、時代が変わったんですね、珍しさに沢山声かけられました。
 まずは皆と居酒屋へ。
恥ずかしいですが、私はお酒をたしなんだことがありませんでした。
なので、彼に無理やりビールを飲まされました。喉がひりひりしました。少し飲んだだけで、頭がくらくらしました。
私が知っているのは白酒やワイン程度なので。本当にお酒に無知なのです。
 話は大変楽しかった。歴史のゲーム、参考書にあるような歴史の話、家の作りから武士たちの役割。
 会ってなおさら盛り上がるお互いの行動について。
…楽しかったのですが、そのあと私は少し孤独を感じました。
 彼らの性別から年齢、本名を、会うまで知らなかったのです。
しばらく誰が誰か一致せず、困りました。
なので、冒頭のおかしい世界というのはこれをさすんです。
下手をすると、本名、住む場所の詳細なんて誰も知らない。また、私の住む国や大まかな場所は聞いても、詳しいことまで突っ込んできかない。
正行の裁判の際に彼が行っていたことはこのことだったのですね。
 勿論、私は設定づけをされているので、それを言うだけですが、これが彼らの日常なんですね。
 その設定づけすら気軽には言うなと彼に強くいわれました。友達なのに?住んでる場所と名前を言ってはならないと。
働いている先の人たちなら別でしょうが、仲間と気軽に呼ぶ彼らは、お互いの年齢も、誕生日も、本名も、住む場所も、家族構成も。
それを飛ばして仲良くなってしまうのですね。
 こそりと隣の彼に来ました。これが常ですか、と。
軽く頷いて、彼は説明をしてくれました。
 相手は会うまで何も知らない、知る手掛かりは、相手のHP、日記、プロフィール。
時々写真が載っていればそれで知る程度だとか。

オンラインで公開している日記になにが書かれていますか?
 その日の大雑把な行動、地名をぼかしての場所で、なにを買った。
それでなにを知れといわれたら困るのですが、これも慣れだと彼に言われてしまいました。
慣れ?私には麻痺という言葉が正しいと思いましたが、説教臭くなると怒られたので、あまり言わないでおきます。
あって初めて性別が判明する方も。
 相手方も、私が彼とどのような間柄か、どんなことをよく話のかはその時に初めて知る。
裁判所の話をしたら、他の彼らは全くわからなかったようで、彼に『うっかり喋るな』と頬をつねられました。痛いです。全力でつねられました。

そしてオフ会を終えて帰り、またネットを見る。
なかには仕事先が見つからない、と愚痴る人。
 ネット上では如何にも充実した人生を送っているかに見えた人が、酔っ払って愚痴をこぼしていました。上司や同僚の人あたりが辛い、仕事がつまって寝る暇もない。
翳りのある顔、どこか生気がない様子は私はすぐに分かります。
 案の定です。その人は私がその地を発つ直前に亡くなりました。
なのでこちら…裁判所で会った時、驚かれてしまいました。
 来たこと自体はいいのですが、私の持つ黒い本にはその人の悪事が事細かに全て忠実にかかれています。
 白い本にはその人の善行が事細かに。
本には、まず私の方には、出身や年齢や育ち、全て書かれてあります。
ですが、本に書かれている内容と、ネットで見たその人の日記やプロフィール、それを照らし合わせて、思わず首をひねりました。
 その人は出身地は勿論、育った経緯、学生生活、その後の暮らし何から何まで作り上げていた。インターネットという虚構の世界で。
インターネットでは随分といいランクの学校を出たと。世界的に見て、です。海外の大学を首席で卒業したんだといっていました。
 住んでいる場所は東京、働いている場所も大手の会社。
私は、その場は信じてしまいましたが、彼から言わせればすぐに嘘と分かるそうですよ。
中々難しいですね。
私は人を信じやすいのでしょうか、たまには疑うことも必要ですね、修行が足りません。
何故そうまでして嘘をついたと裁判所で私は聞きました。
友人としてでなく、ただの裁判員の一人として。
その人は泣きながら言いました。
『下に見られたくない。皆に馬鹿にされたくない。育ちや学歴が悪いだけで見下されたくない。だから作り上げた』と。
 友人というものは全てをさらけ出せる間柄ではないのですか?少なくとも、彼と私はそういう間柄です。
悩んでいれば相談に乗ってもらえますし、新しい仲間が加わればその話を。
嘘はほぼ言わないのです。悪魔と呼ばれている私たちが。
 人はとてもプライドが高く繊細です。年代や国にもよりますが。
なかにはとんでもなく図太くて飽きれてしまうほどの人もいますが。えっ、リージのことだなんて言ってませんよ。
インターネットの世界で作り上げた友人関係、それらに対して嘘をついていたのですね。
嘘なんてどうでもいいですが、最初のオフ会の後何度も会いました。
日記では楽しく楽しく、友達が沢山だと。休みの日は遊びに行って、欲しいものを買う。
その人が、本に書かれていることをそのまま言えば、一人ずっと外に出ないで暮らしていました。
 日記は大げさに書いていただけです。
その人は結局どうなったかというと、悪いことは特にしていませんが、自殺をした…つまり自分を殺したわけですから、話し合いの結果、地獄へ行っていただきました。
 ただし罰なんてほとんどなく、すぐ輪廻しますけれどね。

虚構の世界。虚構の世界は夢でもなくリアルでもなく、そこに新たな自分を作る。
人によっては素のままを、人によっては作り上げた理想の自分を。
プライドを気にして、会う時も何もかも。
一人でさみしいことなんて書けもせず。
 その裁判の後、彼に聞きました。
日記とは何ですか。私が知っている日記は、自分の本心を語るノートの様なもの。
それを偽って書くことに何の意味があるのですか、と。
彼は真顔で私が問うのがおかしかったのか、質問内容がおかしかったのか。
ひたすら笑っていましたが、ひとしきり笑った後、『だからこの時代が面白いんだよ』と、流されてしまいました。
性格も若干悪いところは知ってますが、その笑い方に口調、全て見透かしたような目に、さすがに引いてしまいました。
その後煮えたぎる血の海を崖の上から眺めて、ポツリ、と話してくれました。
私たちが接していた彼らは、ほぼ全員が心の内を隠していました。
ここら辺はまだその人たち全員がやってきてないので、彼の憶測ですが…、ただ、彼は人の心を覗き見るのが大好きなので、分かるみたいです。
 日記なんてものは、ただの報告書の様なもの。
一人誰にも相談できずに悩み、やがて緩やかな死を求めて動き出す。
心が病んでいるならそれを書けばいいのにと私が言えば、また言われました。
『そんなことすりゃ、あいつと関わりたくないっていうんだ』そう毒づく彼は、少し寂しそうでした。
 ではどこでストレスを発散するのか?
会社で疲れ、家では寝て、ネットでの交流は見栄を張る。
なにをそこまでするのだろう。
だから、病院というものが存在すると。
私の知る病院は、人を治すためのもの。色々な成分の物を人にうまく作用するようにして、それを相手につけたり飲ませて、治療するための場所。
ですが、それは今の世の中では、場所によってはただ金をむしり取るだけで、依存性のある強い薬を提供す場所もあるようです。
 それどころか、ある国では死を促すための薬もあるそうです。安楽死とはまた違ったものだといわれました。
 その病院もやがて信頼できなくなって、アレに行くわけです。
匿名での大型掲示板。私が飽きたといって怒られたアレです。
そこで名も知らぬ人相手に愚痴を吐き、呟き、賛同を貰い、たまに反対をされてそして絶望する。
 世界の仕組みが随分と変わっているのですね。
これはこれで面白い世界ですが、私はあまり好みません。
見た目で人を判断しないといけない、インターネットは分からない。
全員が全員というわけではないですが。
当然その地獄行きの人も、私が人間ではないことは当然ですが、設定した『本名』も知らず、日本語のできる、日本が好きな外人としかしらなかった分からなかった。
ハンドルネームと、彼とのやり取り、その程度で判断していたそうです。
 孤独に埋もれてその人が生きてきたなんて、会っただけではあまり分かりませんでした。

 そのうえで友人という言葉を軽々しく使うものかと思うと、ため息が出てしまいます。
作り上げられた世界で、私に本当の友達は何人いたのでしょう。
 その人が自殺に踏み切るまで、相当悩み事があったはず、それをほとんど見せずに過ごしてきたのです。
 また、私が虚構世界で暮らす彼らのことをなにを分かったのでしょう。
私が悩めば悩むほど、隣で血の海を見下ろしていた彼は面白そうに笑いました。
彼らは仮面をかぶって生活している。
 変な世界です。
彼にとっては楽しいのでしょうが、私の様な真面目と呼ばれる人間には、疲れる世界でした。
ただそれだけです。

おっと、失礼します、そろそろ次の裁判の時間です。
 裁判が終わったら、次はどこに行きましょう!
あの服は持っているので、また行きたいです。日本も面白いですけれど、次はインドやアメリカにも行ってみたいです。
最近は物騒らしいですが、フランスもいいですね。設定づけされたロシアにも行ってみたいです。
 寒いところはあまり好きではないので、暖かい場所がいいのですが。
たった数年で世界がらりと変わるらしいので、ちょくちょく行くことにしようと思っています。その時は勿論、彼に教えてもらいながら。
 …すみません、正直、私は少しだけ、複雑なあの世界が気にいりました。
私も悪魔と呼ばれる一種ですから。




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