2015年4月1日水曜日

非実在図書感想文2015

エイプリルフールらしいです。なんか嘘の一つでもつかないともったいない気がしますよね。
ってことで存在しない図書の感想文を書きました。昨年と同じようなネタなので能がないのですが。


【御落胤! 著:潜利矢府】
 「おめでとうございます。あなたは南朝正統後継者に選ばれました」というなんとも胡散臭いメールを送る主人公は詐欺メールを送るバイトをしている。だがある日、このメールを受け取った一人が奇妙な返信を返してくる。ひょんなことからその相手に会うことになった主人公は奇妙な風体の男だった。次々と現れる謎の秘密結社とその陰謀に主人公と読者は翻弄されていく。南朝の後裔やら日ユ同祖論、義経=チンギスハーン説、はたまたロックフェラー財団の陰謀からレプティリアンの陰謀まで奇奇怪怪、奇妙奇天烈な陰謀論の数々が膨大なペダントリーとともに開陳される。最初は騙すはずだった主人公が幻惑され、呼んでるこちらもどれが真実で誰が誰を騙そうとしているのかわからなくなってくる。幻惑的で魅力的な一冊。

【和学再構築 著:江渡四草】
 東洋の学問は本当に西洋の学問にかなわなかったのかという問題提起とともに開陳されていく、和学の歴史。そして著者は和学の方法論を適用したうえで西洋的学問、哲学や科学の再構築を試みる。特に和算の可能性とそれにより現代数学の再構築を目論んでいくのは挑戦的だ。博覧強記の著者だが果たしてどこまで正しい方法論なのか判断がつきかねる。独創性と言う点では結局西洋学を東洋の方法論に落とし込んでいるだけにも思えるが、「if」でそのまま江戸期からそのまま学問が発展していたらと夢想するのも何となく楽しい。

【ゾンビ戦隊ゾンビーズ 著:生屍歩明】
 鮮血で真っ赤なレッドや腐って黒ずんだブラック、カビの生えたグリーンなどゾンビらしいカラーバリエーションも揃っているのが笑える。主人公たちは思考はしているものの「あー」とか「うー」とかしか言えないので仲間の意思疎通もあいまい。なんだかよくわからない悪の組織と戦っている。終盤になって明かされる悪の組織の正体と主人公たちの存在意義が何気に意外。なんだかんだ言って哲学的ゾンビとかバタリアンとかサンゲリアいろんなゾンビが詰め込まれていてこれぞゾンビ小説と言った感じ。

【ヒモの世界史】
 女性に貢いでもらい生活していく男、すなわち「ヒモ」についての世界史をまとめた一冊である。古代の母系社会から中世のパトロン制度での女性貴族と芸術家や科学者たちの悲喜こもごも、さらには近世のヒモたちの生活から現代の各国のヒモ事情まで。ヒモになりたい人もなりたくない人も楽しく読める一冊。

以上、失礼しました。

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